鍵盤楽器奏者・武久源造と山川節子の活動記

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<<   作成日時 : 2008/03/20 02:42   >>

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先日の浜離宮でのガラコンサートに続き、
昨日18日は渋谷セルリアンタワー能楽堂でのコンサートでした。
私たちの疲れはかなり満潮状態です。
でも、音楽にはまた新たな試みも加えられ、
ふんだんに高級な木材が使われた能舞台に
チェンバロとジルバーマン・ピアノの音が広がっていきました。
2、3日前から足袋を履く練習をしていた武久氏は
すっかり気に入ってしまい、一日中足袋を履いて、草履で外出。
本番が終った今日も足袋を履いていました。
能舞台は足袋でしか上がれないので、
出演者・スタッフ全員が足袋を履いて本番を行いました。

いつものように音楽には私たちなりの感想と思い入れがあるのですが、
きょうは舞台裏と私の身の回りで起きたことを書きたいので、お許しください。
(武久氏の音楽ファンの皆様、詳細書かずにゴメンなさい)

お昼もだいぶ過ぎた頃、私は武久氏を迎えに行き、
ゆっくりと昼食をとりました。私たちは本番前にはほとんど食さないので、
お昼をわりとたっぷり食べておくのです。
昨日もそのようにして、そろそろ会場に向かうべく、準備を始めました。
どういうわけか、とてもスムーズにことが進み、何の支障も無く出発。
渋谷までは渋滞も考慮して時間を計算していました。
ところが、わずか30分で到着。ほぼノンストップに近い記録となりました。
この時点から時間軸がずれたような感覚がありました。
不思議な「気」のせいでしょうか?
結果的にかなり早めの到着と相成ったわけで、
調律師さんには予定を曲げていただくこととなり、申し訳なかったです。
そして本番までの時間、もっと押せ押せなのかと思ったのですが、
どうも時間がゆったり感じられました。
もっともそれは私の立場のせいで、調律師さんや演奏者はあせっていたのかも
しれません。。。
もろもろの準備が整い、本番開始。
武久氏の集中度がどんどん高まる中、後半で使用した楽器が
なかなか安定せず、扱いに苦労していました。
それでもエネルギー全開で終演。
何があっても武久源造!なんだなと感服する頑張りでした。

昨日の私は舞台の手伝いとともに書籍とCDの販売員にもなっていました。
お客様が三々五々お帰りになっているなかに、会釈をする女性がいました。
こちらも会釈を返しましたが、『えっ、もしかして○○さん?』… 
「○○さん!私のことわかる?」と思わず声をかけてしまいました。
彼女はうなずきました。
この人は、私と中学・高校が一緒で、中学のときはクラスも一緒だったし、
帰る方向が一緒でした。私が欠席すると学級通信を持ってきてくれたり、
ご飯の上におかずを全部のせて食べるのが「好き」か「嫌い」かなんて
話し合ったこともありました。
高校ではクラスもクラブも別となり、ほどほどの仲となってしまいました。
彼女は今や名門となった吹奏楽部の部員としてフルートを吹いていました。
いつだったか彼女の高価なフルートが盗まれた事件があって、
大騒ぎで探し回ったけれども見つからず、落胆した彼女がかわいそうで、
それなのに私はそんな彼女を見るのが辛く、なぐさめるどころか、
かえって背をむけてしまったこともありました。
決して性格も素行も良いとは言えなかった学生時代の私。
(今は良くなったとも思っていませんけど、当時はかなりひどかった)
さらにその後も大胆に紆余曲折あった私の生活を
一度振り出しに戻すために、新たな生活の場として住み着いたマンションに、
偶然にも彼女が住んでいました。
ただ、わりと大きなマンションのため、顔を合わせることはほとんどなく、
お互い大人になっていたので、○○さんなのかな?と思うぐらいで過ぎていました。
時々すてきなフルートの音が聴こえてきたので、そうなのだと思っていました。
そして、最近は私も本拠地を変えてしまったし、お見かけするこもなくなりました。
それが、どうして能楽堂に?
しかも、私が呼び止めた時に彼女はうなずきながら、
「私、今、声が出なくなる病気でしゃべれないの」とかすかな声を絞り出しました。
『どうして?フルートは吹けるの?』」と聴こうとしても、「えっ!」としか
言えませんでした。
別のお客様が、CDを購入しようと、私たちの間に立ちました。
「かげながらいつも、ずっと応援していました」とまたかすかな声で
ひとこと言って、彼女は出口に進みました。
深く頭を下げるしか出来なかった私。
『ありがとう』涙がこぼれそうになるのを必死でがまんして、
次々にご挨拶くださるお客様、そしてCDやご本をお買い求めのお客様に対応しました。
一瞬の出来事でしたが、時間軸がまた過去と現在の間で身震いするような感覚を
味わっていました。

きっと武久氏のステキな音楽あってこその応援だろうとは思うけれど、
こんな性格の、こんな不出来な私の活動を、ずっと応援してくれていたなんて、
本当に胸が熱くなりました。
多くの人の、そして一人一人の温かな愛情の上に
コンサートが成り立っていることを
理解するというような次元を超えて、ガツンと思い知らされた昨日でした。
日々の自分の行動も大いに反省しました。

どうか彼女の声がもとどおりになりますように、
大事に至りませんように、心をこめてお祈りします。



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